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福岡地方裁判所飯塚支部 昭和57年(ワ)21号 判決

原告

矢野喜章

ほか一名

被告

野上新一

ほか一名

主文

一  被告野上新一は、原告矢野に対し、七〇〇、六一二円とこのうち六四〇、六一二円に対する昭和五五年七月一日から、六万円に対する同五七年二月一〇日から各完済まで年五分の金員を、原告重実に対し、六一二、二六〇円とこのうち五五二、二六〇円に対する同五五年七月一日から、六万円に対する同五七年二月一〇日から各完済まで年五分の金員を、それぞれ支払え。

二  原告らの被告野上新一に対するその他の請求及び被告野上御に対する請求をいずれも棄却する。

三  訴訟費用のうち、原告らと被告野上新一との間に生じた分はこれを二分し、その一を原告らの、その他を同被告の負担とし、原告らと被告野上御との間に生じた分は全部原告らの負担とする。

四  この判決の一項は、仮に執行することができる。

事実

第一当事者が求めた裁判

一  原告ら

(一)  被告らは連帯して、

1 原告矢野に対し、一、三八〇、〇六四円とこのうち一、二八〇、〇六四円に対する昭和五五年七月一日から、一〇万円に対する同五七年二月一〇日から、各完済まで年五分の金員を、

2 原告重実に対し、一、二三一、二三二円とこのうち一、一三一、二三二円に対する昭和五五年七月一日から一〇万円に対する同五七年二月一〇日から各完済まで年五分の金員を、

それぞれ支払え。

(二)  訴訟費用は被告らの負担とする。

との判決並びに第(一)項につき仮執行宣言

二  被告ら、

各請求棄却、訴訟費用原告ら負担の判決

第二当事者の主張

一  原告らの請求原因

(一)  交通事故の発生

1 日時 昭和五五年七月一日午後五時

2 場所 飯塚市新立岩八番一号県総合庁舎前

3 加害車両 普通乗用自動車(北九州五五ふ九八二〇)

運転者 被告野上新一(以下「被告新一」という。)

4 被害車両 普通乗用自動車(福岡五七ら七八三八)

運転者 原告矢野

同乗者 (後部座席) 原告重実

事故類型 追突

(二)  責任原因

1 前記日時ころ、原告矢野は、被害車両を運転して市道新飯塚―川島一号線を、飯塚市役所方面から幸袋本町方面に向かつて進行中、進行方向左側にある嘉穂福祉事務所から右道路に向かつて出てくる車両が数台あつたため一旦停止した。

2 その際、後方から加害車両を運転して進行してきた被告新一が前方注視を怠り、被害車両後部に加害車両を衝突させた。

3 被告野上御(以下「被告御」という。)は、昭和五六年七月一〇日原告らに対し、本件事故により生じた被告新一の原告らに対する損害賠償債務につき連帯保証する旨約した。

(三)  原告らの受傷の部位、程度及び治療の経過

右事故により、原告らはそれぞれ頸椎捻挫の傷害を受け次のとおりの治療を受けた。

1 原告矢野について

(1) 通院 田中外科医院 昭和五五年七月三日から同月四日まで二日間

(2) 入院 右同医院 同月五日から同年八月一二日まで三九日間

(3) 通院 右同医院 同年八月一三日から同年一二月一八日まで一二九日間(うち実日数六三日)

(4) 入院 右同医院 同年九月一日から同月一四日まで一四日間

(5) 通院 魚住医院 昭和五六年一月二二日から同年三月二六日まで六四日間(うち実日数五日間)

(6) 後遺症 左第三・第四椎間孔狭小により頭痛、頸部肩疼痛、耳鳴り、目のかすみ等

2 原告重実について

(1) 通院 田中外科医院 昭和五五年七月二日から同月四日まで三日間

(2) 入院 右同医院 同月五日から同年八月一二日まで三九日間

(3) 通院 右同医院 同年八月一三日から同年一一月五日まで八五日間(うち実日数六〇日間)

(4) 通院 魚住医院 昭和五六年一月二二日から同年六月一九日まで九九日間(うち実日数一八日間)

(5) 後遺症 環軸関節亜脱臼により頭痛、頸部疼痛、左耳鳴、視力低下、胸痛

(四)  原告らの損害

1 原告矢野分

(1) 治療費 一、〇五五、五八〇円(自己負担分)

(2) 入通院雑費 七二、一〇〇円

入院期間五三日に雑費相当額七〇〇円を乗じた金員と、通院実日数七〇日に雑費相当額五〇〇円を乗じた金員の合計。

(3) 交通費 四四、八〇〇円

(イ) 田中外科 頴田町役場前から飯塚市西鉄バスセンターまで往復四〇〇円、西鉄バスセンターから飯塚橋まで往復一六〇円の計五六〇円に、通院実日数六五日を乗じた三六、四〇〇円。

(ロ) 魚住医院 頴田町役場前から飯塚市西鉄バスセンターまで往復四〇〇円、西鉄バスセンターから福岡市天神まで往復一、〇四〇円、天神から動物園入口まで往復二四〇円の計一、六八〇円に、通院実日数五日を乗じた八、四〇〇円。

(4) 休業損害 四七九、六二二円

原告矢野は、事故当時飯塚市の三丸電気工業株式会社に勤務し、一日当たり五、五七七円の賃金を得ていたところ、本件事故により七月二日から九月二五日まで八六日間休業を余儀なくされたものである。

(5) 入通院慰藉料 七五万円

原告矢野は、本件事故により長期の入院及び休業を余儀なくされたうえ、被告らは同原告に対し全く誠意ある態度をみせず、示談屋を間に立てるなどして自分は全く責任はないといつた態度を取り続けたため、原告の被つた金銭的・精神的損害は甚大であり、それを慰藉するものとしては右金額が相当である。

(6) 後遺障害による損害 八二七、九六二円

(イ) 慰藉料 五五万円

(ロ) 逸失利益 二七七、九六二円

前記後遺障害は三年間継続すると考えられるので、ホフマン系数により計算すると、

5,577×365×2.7310×5/100=277,962

(7) 弁護士費用 一〇万円

(8) 損害填補

原告矢野は、被告の強制保険から傷害分として一二〇万円、後遺障の分として七五万円、計一九五万円の損害填補を受けた。

2 原告重実分

(1) 治療費 一、四〇九、四四〇円(自己負担分)

(2) 入通院雑費 六五、八〇〇円

入院期間三九日に雑費相当額七〇〇円を乗じた金員と、通院実日数七七日に雑費相当額五〇〇円を乗じた金員の合計。

(3) 交通費 六五、五二〇円

(イ) 田中外科 頴田町役場前から飯塚市西鉄バスセンターまで往復四〇〇円、西鉄バスセンターから飯塚橋まで往復一六〇円の計五六〇円に、通院実日数六三日を乗じた三五、二八〇円。

(ロ) 魚住医院 頴田町役場前から飯塚市西鉄バスセンターまで往復四〇〇円、西鉄バスセンターから福岡市天神まで往復一、〇四〇円、天神から動物園入口まで往復二四〇円の計一、六八〇円に、通院実日数一八日を乗じた三〇、二四〇円。

(4) 母親の交通費 六五、二八〇円

原告重実の母重実キヌ子は、原告の見舞及び下着の替え等で田中外科医院へ通つたが、重実キヌ子は右乳腺炎等で体が弱く、タクシーで通つたためその金額。

(5) 入通院慰藉料 七〇万円

原告重実は、事故当時高校に存学中であり、傷害の程度や治療が長期に及んだこと、また頭痛や頸部痛、視力低下のために授業を満足に受けることができず成績も下つたこと、及び被告の同原告に対する仕打ち等により本件事故によつて受けた肉体的、精神的苦痛は計り知れないものがあり、これを慰藉するものとしては右金員はささやかすぎるものである。

(6) 後遺障害による損害 七七五、一九二円

(イ) 慰藉料 五五万円

(ロ) 逸失利益 二二五、一九二円

年齢別平均給与額一〇五、三〇〇円に、前記後遺障害は四年間継続すると考えられるので、ホフマン系数により計算すると、

105,300×12×3.5643×5/100=225,192

(7) 弁護士費用 一〇万円

(8) 損害填補

原告重実は、被告の強制保険から傷害分として一二〇万円、後遺障の分として七五万円、計一九五万円の損害填補を受けた。

(五)  結論

よつて、被告新一に対し民法七〇九条に基づく損害賠償として、被告御に対しその連帯保証債務として、連帯して、原告矢野は(四)項1の(1)ないし(7)の損害金合計三、三三〇、〇六四円から同(8)の損害填補額を差引いた残額一、三八〇、〇六四円とこのうち一、二八〇、〇六四円に対する不法行為の日である昭和五五年七月一日から、一〇万円に対する本件訴状送達日の翌日である同五七年二月一〇日から各完済まで民事法定利率年五分の遅延損害金を、原告重実は(四)項2の(1)ないし(7)の損害金合計三、一八一、二三二円から同(8)の損害填補額を差引いた残額一、二三一、二三二円とこのうち一、一三一、二三二円に対する不法行為の日である昭和五五年七月一日から、一〇万円に対する本件訴状送達日の翌日である同五七年二月一〇日から各完済まで民事法定利率年五分の遅延損害金を、それぞれ支払うことを求める。

二  請求原因事実に対する被告らの認否

(一)  請求原因(一)項の事実は認める。

(二)1  同(二)項1の事実は認める。

2  同2の事実のうち、衝突の事実は認めるが、その他の事実は否認する。

3  同3の事実は否認する。

(三)  請求原因(三)、(四)項の事実は知らない。

理由

一  事故の発生

請求原因(一)項の事実は当事者間に争いがない。

二  責任原因

(一)  請求原因(二)項1の事実は当事者間に争いがなく、成立に争いのない乙二号証、三号証の一ないし四、四号証の一ないし七、五ないし八号証と原告矢野、被告新一各本人尋問の結果を総合すると、同2の事実が認められる。

(二)  そこで、被告御の連帯保証契約(請求原因(一)項3)の成否について判断するに、本件全証拠によつても、右契約成立の事実を認めることはできない。

すなわち、証人和泉真一、同関幸彦の各証言によると、原告らは、本件事故後被告らに対し、何度か本件事故による損害賠償金の支払について交渉したが、被告らは、被告らが依頼した梅田某に一任しているとして示談交渉に応じなかつたこと、昭和五六年七月一〇日原告矢野が義兄の関幸彦及び友人の和泉真一とともに被告新一の父である被告御に会つて交渉した際にも、同被告は従前の態度を変えなかつたこと、そこで、右関が同被告に対し「原告側で裁判にしようとしているが、敗けた場合全部払えるか」と聞いたところ、同被告は「払う」旨答えたことが認められる。

しかし、右関と被告御との右問答の際にも、同被告は示談交渉を梅田某に一任しているとして原告らとの直接交渉に応じなかつたものであることに徴すると、同被告の右発言は、「裁判によつて賠償を命じられれば、それには従う」旨答えたものと認めるのが相当であり、これをもつて同被告が被告新一の原告らに対する損害賠償債務につき連帯保証する旨約したものであるとはとうてい解されない。

そして、他に被告御が被告新一の原告らに対する損害賠償債務を連帯保証する旨約したことを認めるに足りる証拠はない。

三  傷害

成立に争いのない乙九号証の一・三によると、原告両名は、本件事故によりいずれも外傷性頸部症候群(頸椎捻挫)の傷害を受けたことが認められる。

四  治療状況

(一)  原告矢野について

弁論の全趣旨により原本の存在とその真正な成立を認め得る甲二号証の一・二・四、証人田中義信の証言、原告矢野本人尋問の結果によると、請求原因(三)項1の(1)、(2)、(3)、(5)の事実が認められる。

なお、証人田中義信の証言と弁論の全趣旨によると、原告矢野は、昭和五五年九月一日から同月一四日まで田中外科医院に入院したことが認められるが、右入院が本件事故による傷害の治療のためであつたと認めるに足りる証拠はない。

(二)  原告重実について

弁論の全趣旨により原本の存在とその真正な成立を認め得る甲三号証の一・二・五、証人田中義信の証言、原告重実法定代理人尋問の結果(一回)によると、請求原因(三)項2の(1)ないし(4)の事実が認められる。

五  後遺障害

(一)  原告矢野について

前掲甲二号証の四と原告矢野本人尋問の結果によると、請求原因(三)項1の(6)の事実が認められる。

(二)  原告重実について

前掲甲三号証の五、弁論の全趣旨により原本の存在とその真正な成立を認め得る甲三号証の四、原告重実法定代理人尋問の結果によると、請求原因(三)項2の(5)の事実が認められる。

六  損害

(一)  原告矢野について

1  治療費 一、〇五五、五八〇円

弁論の全趣旨により原本の存在とその真正な成立を認め得る甲四号証の一・二、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる甲四号証の三によると、原告矢野は、本件事故による傷害の治療費として一、〇五五、五八〇円を要したことが認められる。

2  入院雑費 二七、三〇〇円

既に認定したとおり、原告矢野は、本件事故による傷害のため三九日間田中外科医院に入院して治療を受けており経験則によれば、その間一日につき七〇〇円相当の雑費を要したものと認められる。

なお、同原告は一日につき五〇〇円相当の通院に伴う雑費の請求もしているが、次に認定する通院交通費以外に通院のための雑費を要したものとは認め難い。

3  交通費 三三、六八七円

原告矢野本人尋問の結果によると、同原告は頴田町の自宅から飯塚市の田中外科医院まで片道約八キロメートル、福岡市の魚住医院まで片道約五〇キロメートルを同原告の普通乗用自動車を使用して通院したこと、右自動車のガソリン一リツトル当たりの走行距離は八ないし九キロメートル、ガソリン一リツトルの価格は一七五円であることが認められる。

そうすると、田中外科医院への通院につき

(8×2)÷8×175×65=22,750(円)

魚住医院への通院につき

(50×2)÷8×175×5=10,937(円)

合計三三、六八七円の通院交通費を要したものと認められる(同原告は、バスで通院し、合計四四、八〇〇円の交通費を要したと主張するが、右事実を認めるに足りる証拠はない。)。

4  休業損害 四七四、〇四五円

原告矢野本人尋問の結果により真正に成立したものと認められる甲六号証の一・二と右尋問の結果によると、同原告は、本件事故当時三丸電気工業株式会社に電気工として勤務し、一日当たり五、五七七円の賃金を得ていたこと、本件事故により昭和五五年七月三日から同年九月二五日まで八五日間欠勤を余儀なくされ、その間の給与を支給されなかつたことが認められる。

5,577×85=474,045(円)

5  慰藉料 一〇〇万円

既に認定したような原告矢野の本件事故による傷害及び後遺障害、治療状況その他諸般の事情を考慮すると、慰藉料は、入通院及び後遺障害分を合わせて合計一〇〇万円と認めるのが相当である。

6  逸失利益 認めない

原告矢野は、後遺障害による三年間の逸失利益を主張するが、同原告本人尋問の結果によると、同原告は昭和五五年九月二六日から出勤し、時に頭痛等により欠勤することはあるものの、本件事故当時と同様電気工として就労していることが認められるのであつて、後遺障害により労働能力を喪失したものと認めるに足りる証拠はない(右欠勤については、慰藉料算定の一事情として斟酌すれば足りる。)

7  弁護士費用 六万円

本件事案の難易、本訴追行の経過等の諸事情を考慮すると、本件事故と相当因果関係のある原告矢野の損害として被告新一に負担させるべき弁護士費用の額は六万円と認めるのが相当である。

8  損害の填補

原告矢野本人尋問の結果によると、請求原因(四)項1の(8)の事実が認められる。

(二)  原告重実について

1  治療費 一、四〇九、四四〇円

弁論の全趣旨により原本の存在とその真正な成立を認め得る甲五号証の一・二、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる甲五号証の四によると、原告重実は、本件事故による傷害の治療費として一、四〇九、四四〇円を要したことが認められる。

2  入院雑費 二七、三〇〇円

既に認定したとおり、原告重実は、本件事故による傷害のため三九日間田中外科医院に入院して治療を受けており、経験則によれば、その間一日につき七〇〇円相当の雑費を要したものと認める。

なお、同原告は一日につき五〇〇円相当の通院に伴う雑費の請求もしているが、次に認定する通院交通費以外に通院のための雑費を要したものとは認め難い。

3  交通費 六五、五二〇円

原告重実法定代理人尋問の結果(一回)によると、原告重実は頴田町の自宅から前記田中外科医院及び魚住医院までいずれもバスを利用して通院したこと、そのバスの運賃は、田中外科医院への一往復につき五六〇円、魚住医院への一往復につき一、六八〇円を要したことが認められる。

そうすると、田中外科医院への通院につき

560×63=35,280(円)

魚住医院への通院につき

1,680×18=30,240(円)

合計六五、五二〇円の通院交通費を要したものと認められる。

4  母親の交通費 認めない

原告重実は、同原告の母が見舞及び「下着の替え」等で田中外科医院へ通つたタクシーの料金として六五、二八〇円を請求するが、右費用を支出したことを認めるに足りる証拠はないだけでなく、右のような目的による近親者の交通費までも事故と相当因果関係のある損害と認めるのは相当でない。

5  慰藉料 一〇〇万円

既に認定したような原告重実の本件事故による傷害及び後遺障害、治療状況その他諸般の事情を考慮すると、慰藉料は、入通院及び後遺障害分を合わせて合計一〇〇万円と認めるのが相当である。

6  逸失利益 認めない

原告重実は、後遺障害による四年間の逸失利益を主張するが、成立に争いのない乙八号証と原告重実法定代理人尋問の結果(一回)によると、同原告は本件事故当時高校二年生であつたこと、その後昭和五七年六月当時には既に就職していることが認められるのであつて、後遺障害により労働能力を喪失したものと認めるに足りる証拠はない。

7  弁護士費用 六万円

本件事案の難易、本訴追行の経過等の諸事情を考慮すると、本件事故と相当因果関係のある原告重実の損害として被告新一に負担させるべき弁護士費用の額は六万円と認めるのが相当である。

8  損害の填補

原告重実法定代理人尋問の結果(一回)によると、請求原因(四)項2の(8)の事実が認められる。

七  結論

以上によれば、被告新一は、不法行為に基づく損害賠償として、原告矢野に対し、前記六項(一)の1ないし5、7の損害金合計二、六五〇、六一二円に同8の損害填補額を充当・控除した残額七〇〇、六一二円とこのうち六四〇、六一二円(弁護士費用を除いた金額)に対する本件不法行為の日である昭和五五年七月一日から、六万円(弁護士費用)に対する本件訴状送達日の翌日であることが記録上明らかな昭和五七年二月一〇日から完済まで民事法定利率年五分の遅延損害金を、原告重実に対し前記六項(二)の1ないし3、5、7の損害金合計二、五六二、二六〇円に同8の損害填補額を充当・控除した残額六一二、二六〇円とこのうち五五二、二六〇円(弁護士費用を除いた金額)に対する本件不法行為の日である昭和五五年七月一日から、六万円(弁護士費用)に対する本件訴状送達日の翌日であることが記録上明らかな昭和五七年二月一〇日から完済まで民事法定利率年五分の遅延損害金を、それぞれ支払うべき義務がある。

よつて、原告らの被告新一に対する本訴各請求は右認定の限度で理由があるからこれを認容し、同被告に対するその他の請求及び被告御に対する各請求はいずれも理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担につき民訴法八九条、九二条、九三条を、仮執行宣言につき同法一九六条をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 喜久本朝正)

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